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判例データベース その2

人間、安寧に暮らしたかったら、その国にどんな法律があるのか、あらかじめ知っておくほうが幸せですね。「麻薬を使ったら無期懲役」なんて法律をオランダ人が知らなかったらきっと悲劇ですね。これタイの法律ですね、ちなみにオランダではマリファナはタバコ屋で売ってますから、オランダ人もびっくりですね。道路にチューインガムを捨てたら罰金○○万円なんてのも知らないと日本人でも困りますね、これはシンガポールね。
だからまあ、どんな法律があるのか知りたい、俺は知りたい、激知っておきたいんだよアニキ、ということですね。日本ならまずは手始めに六法を広げると。ポケット六法あたりだとぜんぜん収録数がたりない。六法全書っていう二分冊の分厚いのもあって、これが収録法令930件(平成十五年版)だけれども、それでも日本にある法律のうちほんのわずか。じゃあこれに載ってない法律はどうやって調べればいいかというと、各分野別に「特殊六法」というのもあります。でも種類が多すぎて、なんだか大変ですね。

そんなこんなで、どんなのがあるのか良くわからない法律ですが、国会で法律が制定されると「官報」に掲載されます。お役所がだす法律新聞といったところでしょうか。大きめの図書館に行けば置いてあります。政府刊行物販売センターなんかで買うこともできます。
定期購読すると郵送してもくれます。でも普通よみませんよね官報なんて。
おまけに官報に掲載される法律の条文はまったく新しい法律が制定されたときは別として「○○法第○○条の条文を次のように改正する」なんて調子で、改正された部分しか乗ってなくて、わかりにくいことこの上なし。それでも「官報に乗っけたんだから国民のみなさんも当然知ってますよねこの法律」ということなんでしょうかね。ちょっと困りますよね。
ちょっと困るので、民間の法律出版社が全部の法律を網羅した本を出版しております。
それならなんで「六法」の項で紹介しないのかというと、本屋で注文して買えるような代物じゃなくて、いわゆる「差し替え式」の書籍を購入する契約を出版社とすると、定期的に改正された部分が郵送されてきて、それを差し替えるわけですな。でもこの差し替えがとってもめんどくさいし、中途半端にすると大混乱になるので、別途契約すると「差し替え工作員」みたいな人が月に一度くらい来てくれて、差し替え作業をやってくれます。分厚い法令集を「さっと解いてさくっと入れ替えてすっと紐を通してきゅっと閉める」。これがまた「ザ・差し替え職人」とも言うべき技の持ち主で、たいていはなぜか女性です。
らくちんで便利なんだけれどもこの法令集、いったいいくらなのかといいうと、ぎょうせいの「現行日本法規」と第一法規「現行法規総覧」が21万円、新日本法規出版社「現行実務六法」はちょっと安くて3万円。
そんなに払ってられるか、おれは今だけちょっと法律が調べたいだけなんだい、という向きはどうすればいいか、というと従来はどうしようもなかったわけです。図書館へ行きましょう、ちょっとめんどうですが。
おれは税金だって払ってるんだから、法律のひとつくらい気持ちよくみせてくれたっていいじゃねーか、とおもったあなた、最近はインターネットで法令が調べられるんですよ、良かったですね。
いままでは紙で印刷すると出版するほうも読むほうも膨大なお金がかかった法令データも、インターネットだったらただ同然。良い時代になりました。

総務省法令データ提供システム。
http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi

法律は国会でつくるだけじゃあなくて、各地方自治体で「条例」なんてのもつくってますね。これは各自治体もインターネットで公開の傾向にあるようです。
主だったところだと
東京都、大阪府、神奈川県、千代田区、大阪市、
そんなサイトを集めたのが鹿児島大学の「全国条例データベース」
http://joreimaster.leh.kagoshima-u.ac.jp/

まあこうやってなんだかんだと、法律を調べることができるようになってきたわけであります。

まだまだ判例データベースにたどり着かず、続く・・・

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判例時報1847号目次

判例時報 1847号 16/4/11号 目次

心神喪失者処遇法案の国会審議
過程の分析・続=続(一)
 第156回国会参議院の質疑とその検討  中山研一
判例時報 1847号3頁

◆判例特報◆
国労・全動労組合員採用差別(北海道)事件上告審判決
一 JR各社の成立のときの職員の採用について専ら日本国有鉄道が組合差別をした場合におけるJR各社の設立委員ひいてはJR各社の労働組合法7条にいう使用者の責任(1事件)
二 雇い入れの拒否と労働組合法7条1号本文にいう不利益な取扱い(1事件)
三 労働組合の組合員に対する雇入れの拒否と労働組合法7条1号本文にいう不利益な取扱い及び同条3号の支配介入(2事件)
(1 最一判15/12/22、2最一判15/12/22)
判例時報 1847号8頁

◆判決録◆
=行政=
千葉県の職員の旅行命令表に記録された当該職員に適用される給料表の種類ならびに職務の級及び号級に関する情報の千葉県公文書公開条例(昭和63年千葉県条例大3号)11条2号にいう「個人に関する情報」該当性、ほか
(最三判15/11/11)
判例時報 1847号21頁

法人等の行為そのものと評価される行為に関する情報の旧新潟県情報公開条例(平成7年新潟県条例第1号。平成10年新潟県条例第40号による改正前のもの)10条2号にいう「個人に関する情報」該当性、ほか
(最二判15/11/21)
判例時報 1847号頁
=民事=
食道がんの手術の際に患者の気管内に挿入された管が手術ごに抜かれた後に患者が進行性のこう頭浮しゅにより上気道狭さくから閉そくを起こして呼吸停止および心停止に至った場合において担当医師に再挿管等の気道確保のための適切な処置を採るべき注意義務を怠った過失があるとされた事例
(最二判15/11/14)
判例時報 1847号30頁

声優養成学校において募集広告、入学案内書どおりの授業がされなかったことが入学契約上の債務不履行にあたるとされた事例
(東京地判15/11/5)
判例時報 1847号34頁

出資法違反の高金利業者より貸付を受けたものが、右業者の講座を設定している金融機関に対して、右貸付の弁済のために交付した小切手等の不渡り処分回避のため意義申立預託金を預託し損害を蒙ったとして、金融機関の右口座を凍結しなかったことを違法として求めた損害賠償請求が棄却された事例
(大阪地判16/1/19)
判例時報 1847号44頁

一 軽微な交通事故の被害者について、混合性解離性の後遺障害が残ったとして、自賠法施行令別表2級3号が認められた事例
二 交通事故の被害者の経済的な問題を含めた諸障害に対する対処・感度の仕方という心因的要因を斟酌して損害の4割弱が減額された事例
(さいたま地判15/10/10)
判例時報 1847号50頁

債権者の勤務先の同僚に対する弁済が債権の準戦士勇者に対する弁済として有効と認められた事例
(青森地判14/9/11)
判例時報 1847号58頁

=知的財産権=

一 YがXの取引先に対し、X製品の販売がYの有する商標権侵害となる旨告知した行為が、不正競争防止法2条1項14号所定の不正競争行為(虚偽事実の告知流布)又は不法行為に該当するとして、XからYに対して損害賠償を求めた訴訟において、X製品の販売はYの商標権侵害には当たらないが、Yの右告知行為は、商標権に基づく正当な権利行使と評価できるから不正競争行為及び不法行為のいずれにも該当しないとされた事例
二 YがXの取引先に対し、X製品の販売がYの有する著作権侵害となる旨告知した行為が同法2条1項14号所定の不正競争行為(虚偽事実の告知流布)に該当するとされた事例
(東京地判16/1/28)
判例時報 1847号60頁

甲曲について編曲権を占有する者の許諾を受けずに創作された二次的著作物である乙曲に関して、現著作物である甲曲の著作権者は、同人の許諾を得ずに乙曲を複製等利用した者に対し、著作権法28条に基づき、権利行使をすることができるとされた事例、ほか
(1東京地判15/12/19 2東京地判15/12/19 3東京地判15/12/26)
判例時報 1847号70頁

=商事=
一 ライセンス契約の更新拒絶が違法であることを理由とする損害賠償請求等が仲裁判断の既判力により棄却された事例
二 仲裁判断を最終的なものにしないといの当事者間の合資の有効性
三 合併交渉中止の決定が企業の合理的な経営判断として許容されるとされた事例
(東京地判16/1/26)
判例時報 1847号123頁

=労働=
代々木ゼミナール事件上告審判決
一 出勤率が90%以上の従業員を賞与支給対象者とする胸の就業規則条項の適用に関しその基礎とする出勤した日数に産前産後休業の日数を含めない旨の定めが公序に反し無効とされた事例
二 賞与の額を欠勤日数に応じて減額をすることを内容とする計算式の適用に当たり産前産後休業の日数等を欠勤日数に含めた所定の減額を行わず賞与全額の支払請求を任用した原審の判断に違法があるとされた事例
判例時報 1847号141頁

=刑事=
司法書士に対し金銭消費貸借契約書証に基づく公正証書の作成の代理嘱託を依頼するに際して偽造の同契約書を神聖な文書として交付する行為と刑法161条1項にいう「行使」(最二決15/12/18)
判例時報 1847号152頁

クロロホルムを吸引させて被害者を失神させ、自動車に乗せて自動車ごと水中に転落させて溺死させる計画を立て、実行したが、被害者の死因が溺死かクロロホルム吸引による死亡のいずれかであるとしか特定できない場合、被告人らにクロロホルム吸引によって被害者を死亡させるという認識がなかった場合でも、クロロホルム吸引行為が水中に転落・溺死させるという直接的な殺害行為と密着し、その成否を左右する重要な意味を有する関係にあれば、クロロホルム吸引行為に殺人の実行行為性を認めることができるとされた事例
(仙台高判15/7/8)
判例時報 1847号154頁

◆最高裁判例要旨 判例時報 1847号162頁

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判例データベース1

全国一千万人判例データベースファンのみなさんこんにちは。このページは日本にあまた乱立する判例データベースについて、一刀両断の批評を試み、結果的に返り討ちに遭おうという稀有壮大な企画であります。

判例データベースってのは何なのだ

でわ、まず手始めに、判例データベースがなんなのか、あたりから考えてみたいと思います。ところでですが、「データベース」の定義はインターネット上の様々な先人様にご教授いただくとして、さらに「判例」の定義が必要なひとは・・ってあなたはなんでこのページを見ているのか一抹の不安がよぎりますが、まあどうしても確認したい向きはこちらを参照いただくとしましょう。ところがですな、両者が組み合わさって判例データベースとなるとこれを積極的に考察した人はあまりいません。それもこれも、わが国では判例データベースがつい最近まで存在しなくて、ここ10年くらいで、ようやく商業ベースによる製品が出回り始めたという状況であります。

近時普通にデータベースというと、「アクセス」だとか「ファイルメーカー」だとかいう「データベースソフト」を使用して住所録を作って年賀状を出してみたりというのを連想しますね。あ、データベースソフトにはまだ他にも種類がありますな、「桐」とか、ちょい昔は「Ninja」とか「ゼロ」とか、ああ懐かしいなあNEC-PC98。まじめな業務用だと「オラクル」。こんなソフトウェアの豆知識とかは他のページに譲るとして、ともかくデータベースといえばパソコンで、というのが普通の感覚でしょうか。

ところが、論理的にはデータが存在して、それから一定の条件に当てはまるものを抽出できれば、みんなデータベースな訳です。であるから紙に印刷された電話帳もデータベース、一応。書籍も目次と索引がついてて、目指す情報にたどり着けるならデータベース、一応。カードに書き散らして山とつまれたメモ書きも、目当てのものがすぐに取り出せるならデータベース、一応。
二十年くらい前の知識人たちは、このカードにメモ書きを蓄積するって方法に痛くご執心で、いくつかの「知識人になりたかったら俺を見習え」的なハウツー本には、必ずありましたね、「京大式カードの使い方」
え、京大式カードなんて知らない? いいんです知らなくて、ただのB6サイズの厚めの紙切れです。

この紙に何でも調べたこと気づいたこと、いろいろメモして書いておく、上の方には見出しも書いておく。どんどん書き溜める。たくさん溜まったら見出しにしたがって並べ直して整理する。そうすると関連があるカードは一箇所に集まって整理される(はず)。であるからその一連のカードをおもむろに取り出し、ぱらぱらと見てみたり、机の上に並べてみたりするとあら不思議、バラバラだった断片知識が一気に体系的に把握できるとかできないとか・・・。
このカードはそれぞれ一枚しかないわけで、それをどの順番に並べるかで頭を悩ますわけです。だってひとつのカードはいろんなことに関連してるんだよ。見出しを五十音順に並べてもほしいカードがどこにあるのか、なかなかわからないんだこれが。そこで先人たちは様々な妙手を繰り出しました。一番ワラタのがパンチカード式。カードの端にいくつか穴をあけておく。その穴はそれぞれある情報と関連付ける。一つ目の穴は「Aについて」二つ目の穴は「Bについて」三つ目は・・(以下略)。
でカードに書かれている内容がAに関連のあることだったら、一つ目の穴の端をはさみで切り取る。Bに関連することなら二つ目の穴の端をはさみで切り取る。Cに関連・・・(以下略)

ある時Aについてのカードが見たいなあと思ったら、全部のカードを机の上でトントンと揃えて、一番目の穴におもむろに竹ひごを突き刺す。竹ひごごとカードの束を持ち上げ、そして振る。そうすると一番目の穴にはさみが入っていたカードだけがバラバラと床に落ちる訳ですな。それを拾い集めてまた揃える。今度は三番目の穴に竹ひごを通して振る。そうするとですな、床にはAとCについて書いてあるカードだけが散乱しているじゃありませんかさあお立会い。複合検索の実現というやつですな。ここまでくればもう立派なデータベース。ちょっと荒業だけど。
こんな強引なデータベースを考えているうちに、とうとう出ましたパソコンが。初めて使ったデータベースソフトは「アシストカード」だったかな。そうそう、この会社、社長がビルトッテンさんとかいってね、社長の理念とか言って、他社のデータベースソフトが十万円くらいするのに9800円とか破格の値段でソフトを出してきたのでようやく使ってみたわけですが。そういえばパソコンも東芝だったっけな。ダイナブックss3100。ハードディスクなんてついてなくて、使う度にフロッピーからOSをロードして、それからソフトをロードして、そいでようやくデータを読み込んでと、今から考えると便利なのかどうなのかよくわからん代物ではありました。
それでも情報カードをパソコンの中に入力してしまえば、千枚だって一万枚だって。検索もあっという間の出来事、感動とはこのことでした。データベースふぇち誕生の瞬間です。

<判例データベースに話がたどりつかないうちに 次回へつづく・・・>

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