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どこにあるんだ法律書 1 ジュンク堂

どこにあるんだ法律書

 みなさんこんにちは、このシリーズでは、法情報学の第一歩、法律書の買い方の基本中の基本、「本屋はどこにあるんだぁ」という点について、手始めに私の馴染んでいるところから順を追ってご紹介することにしましょう。
 え、なんでそんなことをするのかって?それがね旦那、法律の専門書ってのはなかなか本屋で売ってないんですよ、でかい本屋ならいいかっていうとそうでもなくて、いくら売り場面積が大きくても法律書なんてあんまり売ってないんですな、これが。とくに今年勢いあまって法科大学院に入っちゃった法学未修のひとなんて、駅前の文教堂とか旭屋書店とかくまざわ書店とかに行って、法律書はあんまりないなあと思っているかもしれませんね。
 近頃はネットショッピングも身近になっているので、少ない労力で確実に本を入手するなら、書店に足を運ぶよりも、ネットの方がよほど効率がいいです。しかしそれでは内容の確認ができないので、入手すべき本が決まっていればいいのですが、そうでなくて、ある分野の資料を探しているというような場合には、やはり本屋に、それもたくさん種類のそろった本屋に行くことが絶対に必要ですね。
 ネットで検索して、自分が入手したらよさそうな本のめどを付けて本屋に行けば、その本の隣には、類書が並んでいます。いろんな著者が少しずつ違う視点で執筆してある類書をぺらぺらと見てみるだけで、いままで自分が気がつかなかった資料がが見つかるかもしれません。
 いざ、ネットを捨てて書店へいこう!   (あ、図書館でもいいんだけどね、でも図書館には新しい書籍はあんまりないですからね)

第一回 ジュンク堂書店池袋店


池袋東口から明治通りを南に行ったところ、JR山手線をくぐるびっくりガードへの交差点に面してジュンク堂書店があります。
変わった名前の本屋ですが、その由来は創業社長だかその父親だかが工藤淳という名前で、それをひっくり返してジュン・クドウ、そのこからジュンク堂になったらしいです、はい、裏付けは取れてません、でも日経新聞「私の履歴書」にジュンク堂の社長がそう書いていたような気がします。デマだったらごめんなさい。現社長は確かに工藤さんのようですが、ジュンク堂を漢字表記すると「淳久堂」なのはなんでだろう(一階看板にそう表記してある)。
 名前の由来はともかく、ジュンク堂の特徴といったら、売り場面積(池袋店だけで二千坪)のみならず、専門書の充実ぶりが挙げられます。もちろん法律書売り場も目を見張るような充実ぶりです。わたしは法律書を買う際に、ここで現物にお目にかかれなければいったんあきらめて、特殊専門書店(後日言及)に行くか、ネットでの購入を検討します。

図書館みたいなたて積み陳列
 ジュンク堂の法律書売り場の特徴は「平積み棚が無い」ということでしょうか。つまり全部の本が図書館のようなたて積み本棚にそれも猛烈に背の高い本棚に陳列されています。一般の書店にあるように、本が表紙をさらして何冊も積んであるということはありません。よほどの売れ筋書籍で無い限り一冊しか陳列していないので、売り場面積あたりの陳列点数が非常に高くなります。書店全体の面積でいえば新宿紀伊国屋書店などに比べてはるかに及ばないものの、在庫書籍が豊富なのはこのたて積み本棚による陳列が大きな原因でしょう。もとより法律書の表紙なんておおむねデザイン能力の欠如した編集者が片手間でデザインしてますからあんまり見たくないですよね。パケ買い(表紙をみて思わず手に取って買ってしまうこと)なんてのは法律書ではあんまり考えられないですからね。

はじめから購入する書籍が決まっているとか、探している分野の本が一冊しかなかったとか言う場合には、そのまま手にとってレジへ直行すればいいのですが、在庫する書籍の種類が多いと、どれを購入するか選ぶ作業が必要になります。たいていはパラパラとページをめくって選ぶわけですが、ジュンク堂にはなんと、本を選ぶための椅子と机が売り場の横に用意されているという大盤振る舞い。ほとんど図書館代わりに使えますね、使っちゃいけませんけどね。

英会話勧誘員がいない
 あとジュンク堂に特筆すべきてんがあるとすればそれは「英会話教室の客引きがいない」ということでしょうか。みなさんもご存知ですね。もっぱら語学書売り場の近くに机をだして、地味な制服をきたおねーさんが道往く人に「英会話に興味はありませんか?」って話しかけるあのセールスです。わたし、これが大嫌い。これにつかまっちゃうと時間は取られるし、会話が始まった以上無碍には立ち去れないし。基本的に私がいい人なんですね、むげに立ち去れない、特に美人だと、んー、単にスケベなだけですかね。
 ともあれ、興味のない英会話教室の話を聞いてくれませんかくれませんかって非常に鬱陶しいことこの上ない英会話勧誘員、あれのテリトリーにおいてある本が見たいのに近づけないなんとこともしばしばです。とりわけ法律書売り場と語学売り場が近い書店(神保町三省堂、池袋旭屋書店等)の場合は最悪です。最近は英会話じゃくてパソコン教室という新種もいるので、法律書と理工書の売り場が近い書店(新宿紀伊国屋本店、南店等)の場合もちょっとやですね。
 そのやだやだな勧誘員ですが、なんとジュンク堂にはいないんですねこれが。だからゆっくり本が選べる、おんなじ場所を何回でも巡回できる。非常に気持ちよく本が選べます。もうこれだけでもジュンク堂をお勧めしたいくらい。
本屋の鑑ですな。


○ジュンク堂の良い点
法律書に限らず、ディープな在庫がおおい
購入図書を検討する椅子と机がおいてある
西武百貨店図書売り場(リブロ)を経由すれば雨が降ってもほとんど濡れずにたどり着ける
売り場店員が良く勉強していて、商品知識が豊富、対応もおおむね親切。
売り場の間取りが比較的単純で、動きやすい。
四階にカフェがあるので、疲れたら寛げる。書店の隣にはスターバックスもある。
うっとうしい英会話・パソコンスクールの勧誘員がいない(少なくとも法律書売り場には)

○良くない点
駅から近いとはいっても改札からは結構歩く
車で行くには池袋は混雑しすぎで回りにも駐車場がなさすぎ
たて積み書棚はいいけれど手持ちの書籍をちょっとおいておくスペースがないので、結構不便。検討用の机と椅子はエスカレーターのあたりにしかないので、そこまで持っていくのが億劫な場合あり。おまけに椅子はいつも満席。あんなに立派じゃなくていいから、もっと数を増やして、いろいろなところにおいてほしいな。椅子よりも立ったまま利用できる高さの机がそこここにあったほうが便利かも。
四階のカフェには、ワインはあるのになんとビールがメニューにない、まあいいか。
トイレが狭い、まあほかの書店もたいして変わりませんが。わたしはなぜか書店ではトイレに行きたくなるのであります。

追記
ジュンク堂法律書売り場にもうひとつ苦言を呈したい。
それは「法務」「労務」「起業」関係の法律書が、メインの法律書売り場からかなり離れたところにあるということだ。「法務」「労務」はおそらく会社経営の関係であるということで、経営学関係の棚の近くに、「起業」はビジネス書の近くにある。法律書の重要なテーマである「コンプライアンス」とか「会社設立」などの本が法律書売り場にないというのはいかがなものか。また労働法の本を探していてどうも品揃えがかたよってるなあ(労働組合運動の本ばかり)とおもったら、肝心の労働法の本は遠く離れた「労務」の棚にあることに気づくまでだいぶ時間がかかったこともある。
経済学の書籍が妙に法律書売り場の壁側にあるのだが、これこそビジネス書や経営学関係の棚のほうに移動して、法務関係などの本はもっと法律書棚に近づけてもらいたいものである。(2004.7.9)

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